専門家が教える!TNR活動とは?

保護猫について

庭に猫が入ってきて、困ってます。
どうにかなりませんか?

近所で野良猫がたくさんいて、
毎年赤ちゃんを産んで、見てられないわ。


今日は、一度は耳にしたことがあるかもしれないですが、「TNR」活動について、お話ししていきたいと思います。

TNR活動とは?

TNRって聞いたことはありますか?
実は、上の2人の悩みを解決する唯一の方法なんです。

Trap(トラップ): 捕獲すること
Neuter(ニューター): 不妊手術のこと
Return(リターン): 猫を元の場所に戻す

つまり、野良猫を捕獲して、不妊手術を施し、元の場所に戻す活動です。
不妊手術された猫は、一目見ただけで、手術済みかどうか分かるように、耳カットをされています。この耳カットは「さくら耳」とも言われ、愛されている証拠とも言われています。また、さくら耳の猫のことを「さくら猫」とも呼びます。
通常、右耳カットされているのが、オスで、左耳カットがメスですが、施す病院によっては両耳カットしているところもあります。
耳カットと言っても、麻酔をかけている間に、耳の先端に少し切れ目を入れてカットしているだけですので、耳には何の支障もなく、猫にとっても負担はあまりありませんので、ご安心してください。

なぜ、TNRが必要なのか?

猫は、非常に繁殖能力の高い生き物です。
たった2匹の半年以上のオスメスがいたら、たった1年後には、50〜70匹にもなると言われています。

「近所に野良猫が2匹以上いるけど、そんなに増えていないよ。」とおっしゃる方もおられますが、お外の世界は厳しく、飢餓や低体温、脱水、風邪をこじらせたり、交通事故などによって、生存率が低いためと考えられます。ただ、生まれては亡くなりを繰り返しているだけなんです。

TNRを行えば、野良猫の寿命は、上記の理由などから、3年ほどしか生きられないと言われているので、確実に数を減らすことが出来ます。
庭にいて困っている人も、TNRをすれば、3年ほど経てば、いなくなるんです。

これは、猫が好きな人だけではなく、猫が嫌いな人も、猫の数を減らすために一緒に行える行動とも言えます。

費用が掛かる?

猫を飼っている人であれば、動物病院で不妊手術をした経験があることでしょう。
病院によって値段は違うのですが、メスであれば2〜5万円ほど、オスであれば、1〜3万円ほど掛かります。
近所には野良猫がたくさんいて、1匹につき、そんなに払うことが出来ないという方も多いと思います。

しかし、野良猫の不妊手術は、自治体によっては、補助が出たり、無料で行えたりするところがあります。
公益財団法人どうぶつ基金では、さくら猫無料不妊手術事業を行なっており、一般の方でも登録、申請すれば無料チケットが貰え、協力病院で不妊手術を行うことが出来ます。(TNR実施の報告とアンケートの提出が必要)

また、検索してみると、地域によっては、野良猫専門不妊手術病院があります。
メス8,000〜10,000円、オス5,000円〜8,000円ほどで手術をしてもらえ、寄生虫の駆除、ワクチン接種や怪我している箇所の簡易的な治療を行なってくれるところもあります。
不幸な猫を増やさない、産まさないことを目的としているので、野良猫たちに負担やストレスをかけずに、費用を抑えた手術となり、術前の血液検査、レントゲンなどは行いません。
家族として迎え入れた猫は、費用面や飼育する頭数でよほどのことがない限り、一般の動物病院でしっかり術前検査を行なって不妊手術してもらいましょう。
とはいえ、野良猫の不妊手術病院も、不妊手術だけに特化していますので、熟練した技術で出来る限り安全に手術を行ってくれますし、手術痕も非常に小さいところが多いです。

捕獲ってどうするの?

野良猫を不妊手術したくても、捕獲が出来ないという方もたくさんいらっしゃると思います。
人馴れしていないから捕まえることが出来ないです。
不妊手術病院によっては捕獲までお手伝いしてくれるところもありますし、有料で捕獲から不妊手術、リターン(元の場所に戻す)ところまでしてくれる会社などもあります。
近くにそういったところがなければ、保護団体さんに相談することも一つでしょう。
ただ、保護団体さんは、あくまでボランティアです。個人の時間やお金を削って、行っています。それがお仕事ではありませんし、好きで行っているわけではありません。
「あの場所に猫がいるから、手術してあげて。」というのは、相談ではなく、無責任なお願いです。
実際に、こういった相談は多く、名前も名乗らず、猫たちのためにボランティアをしている方でも次第に疲弊していきます。
保護団体さんやボランティアさんの背景も理解し、自分には何が出来るのかしっかり考え、提示して相談してほしいと思います。

TNRと餌やりとトイレ掃除はセット

TNR後は、地域猫として、一代限りの命を温かく見守っていきましょう。
餌やりは、食べ残しなども問題になるため、あげたら片付けることが大切です。あげる時間帯は、早朝や夜など人目につきにくい時間帯がオススメです。
また、プランターなどに土を入れ、猫用のトイレなども設置したり、排泄物は、迷惑にならないようにしっかり片付けましょう。
一代限りの命を見守るには、近隣住民の迷惑とならないようにすることも大切です。

野良猫の寿命は短い

お伝えしてきた通り、お外で暮らす野良猫の平均寿命は、3年ぐらいと短命です。

SNSなどで、野良猫の子猫が可愛いと言って、写真を載せられている方がいらっしゃいますが、風邪の影響で、鼻も目もぐちゃぐちゃだったりして、決して「可愛い」という意識で見ては欲しくないのです。
過酷な運命が待ち受けている子達なのです。
「可愛い」と思うだけでなく、そういう子たちと出逢えば、どうすれば助けてあげれるかを考え、子猫であれば積極的に保護して、人馴れが難しい子であれば、TNRして見守れる日本になっていってほしいと願います。

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